【書籍紹介】朝井リョウ「どうしても生きてる」

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Kindleセールのついでに紹介

本日(2020/07/22)のKindle日替わりセールの中に朝井リョウさんの「どうしても生きてる」がありました。

どうしても生きてる (幻冬舎単行本)

数ヶ月前に私はこの本を読んで心を動かされました。
良い機会なのでご紹介したいと思います。

生きる理由を見失った人々の物語

あなたは何のために生きていますか?
あなたの生きる理由は何ですか?

宗教の勧誘の際に聞かれそうな質問ですね(笑)。
とはいえ、自分の生きる理由について誰でも一度は考えたことがあるかもしれません。

自分の楽しみ、家族や恋人の幸せ、夢や目標、色々な答えがあると思います。
堂々と「私は○○のために生きている」と言い切れるのであれば、それは幸せなことかもしれません。

しかし皆が皆生きる理由を持っているとは限りません。
また、生きる理由を持っていたとしても、その理由を疑いたくなってしまったり、見失ったりしてしまうこともあるでしょう。

この本は、そんな生きている理由が見えなくなっている人々が主人公の短編小説から成る作品です。

私が生きる理由を無くしたとき

かく言う私は、昔は「自分は生きるのが楽しいから生きている」と堂々と言い切る人間でした。
「どんなことでも楽しめる」ということを自分の唯一にして最大の長所だと思っていたため、多少の挫折や苦労もありましたが、楽しく生きていました。

しかし、そんな自分の人生観がひっくり返る出来事がありました。

悲しくて、悲しくて、どうしようもなかったです。
昔は「楽しいから生きている」と言っていた自分が、「もうこの先、一生楽しい気分になれないんじゃないか」と考えてしまっていました。
自分の根幹の価値観がいきなり無くなってしまったため、どう生きれば良いのか分からなくなりました。

幸いなことに、周りの方々の支えのおかげで今は少しずつ立ち直ってきて、日々を楽しく過ごせています。
しかし今は「どんなことでも楽しめる」とは思いません。
いつの日かまた、生きる理由を見失う日が来るかもしれない、と考えています。

生きる理由を無くしたら

登場人物達は生きる理由が見えない中、自分なりの方法で生き続けます。
逃げたり、現実から目を背けたり、考えることをやめたり、ただただ叫んだり。
その場をなんとかしのいでいるだけで、読む人によっては救いのない物語だと感じるかもしれません。

ですが、結局生きる理由を無くしたらその場しのぎをするしかないんだと思います。
どうしようもない、変えられない現実を前にしたときは、いつか「もう大丈夫」と言える日が来るまでやり過ごす。

こんなことを言っても生きる理由を無くした人には響かないかもしれません。
絶望の中にいた過去の私なら「じゃあいつ大丈夫になるんだ!言ってみろ!」と怒鳴ったことでしょう。

それでも、なんとか生きていくしかないんだと思います。
これまでの人生をなんとか歩んできたように。

「どうしても生きてる」というタイトルには、そんな意味が込められているのだと思います。

どうしても生きてる (幻冬舎単行本)

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