小惑星探査機「はやぶさ」と10年前の私

科学・宇宙
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10年前の今日、はやぶさは地球に帰ってきた

地球から3億kmも離れた、直径540mの小惑星「イトカワ」から地表サンプルを回収し、地球に持ち帰ってきてくれた探査機「はやぶさ」。
今日でそのはやぶさが地球に帰ってきてからちょうど10年です。
うろ覚えですが、当時のことを思い出してみます。

はやぶさの存在を知った時

その存在を私が知ったのは、はやぶさが地球に帰ってくる直前だったと思います。
友人に教えてもらったのか、はたまたネットのニュースで見たのかはよく覚えていません。
最初は「どうやら小惑星に行った日本の探査機がもうすぐ地球に帰ってくるらしい」くらいの認識でした。

しかし調べていくうちに、ここまで来るのに様々な苦難があったことを知ります。

姿勢制御装置が故障したこと、

一時的に交信が途絶えて「行方不明」になっていたこと、

燃料漏れがあったこと、

エンジンが故障し一時は4つあるエンジン全てが使えなかったこと、

そして、それらを設計に組み込んでいたバックアップや運用の工夫で乗り切ったこと。

この時点で、私のはやぶさへの興味はかなり高まっていました。

帰還当日の夜

帰還当日の夜は、はやぶさの公式TwitterやJAXAのサイトに張り付いていました。
持ち帰った地表サンプルが地球に無事に投下された後、はやぶさ本体は大気圏で燃え尽きる予定でした。
ですが管制スタッフは、はやぶさの最後の仕事として「地球を撮影すること」に挑戦します。
満身創痍の機体で、カメラを地球に向け、写真を撮り、地球へ送信する。
これらを大気圏で燃え尽きる前に終えなければなりません。

撮影の確認が出来ないまま、はやぶさとの交信は完全に終了してしまいます。
残念ですが仕方ありません。優先されるべきは、無事にサンプルを切り離し回収すること。
少しがっかりしながら、サンプルが無事に回収されることを祈ります。

私にとっての一番の衝撃

少し遅れて情報が入ります。

「はやぶさ最後の撮影は行われていた」

とはいえ、ちゃんとデータが受信出来ているのか、地球が写っているのか。

そして…

「地球が写っている」との発表。

つい最近はやぶさを知ったばかりだったのに、思わずガッツポーズをしてしまいました。

公開された画像がこちらです。

はやぶさが最後に撮影した地球の写真
画像の下の部分は受信できなかった部分

この写真を見たとき、思わずぼろぼろ泣いてしまいました。

その後、サンプルが入ったカプセルが無事に見つかった、という報告が入りましたが、この写真が公開されたときの衝撃には及びませんでした。

たしかに、はやぶさにとっての一番の功績は、小惑星から地表サンプルを持ち帰ったことです。
しかし、当時の私にとって、この写真はそれを超える衝撃がありました。
この写真のおかげで、「はやぶさが地球まで戻ってきた」と実感したからです。
遠い小惑星から、数々のトラブルを乗り越えて帰ってきた探査機。
それが遠い世界の物語ではなく、私達が生きているこの世界での現実の出来事なんだと強く実感したのです。

この実感は、はやぶさのプロジェクトに携わってきた人々のことを想像させてくれました。

サンプルを回収し地球まで戻ってこられるよう多くの検証や実験を行ってきた開発者の皆さん、打ち上げから帰還までつきっきりではやぶさの運用に携わってきた管制スタッフの皆さん、資金繰りなどの事務方で尽力した方もいたでしょう。

この世界の同じ人間が、はやぶさを作り、動かしてきたのだと。

そんなことを考えさせてくれたこの写真を見ると、今でも目頭が熱くなります(この記事を書いている今も)。

後継機「はやぶさ2」の今

はやぶさで培われた経験や技術は、後継機の「はやぶさ2」に活かされています。

2014年に打ち上げられ、2018年に小惑星「リュウグウ」に到着、2度のタッチダウン(着陸)を含む様々な観測を経て、去年2019年にリュウグウを出発、2020年の終わりには地球に帰ってきてくれます。

・はやぶさ2のタッチダウン(1回目)の映像

JAXA はやぶさ2プロジェクト

はやぶさ2公式Twitter

Haya2NOW(はやぶさ2のリアルタイムに近い運行データが閲覧できます)

この記事を読んで、10年前に帰ってきたはやぶさと、もうすぐ帰ってくるはやぶさ2に少しでも思いを馳せていただければ嬉しいです。

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